息をのむほどピッタリ合う歩調。衛兵交代式



台湾の観光名所の中でも、お馴染みの衛兵交代式。交代時間が近づくと、ピリピリとした空気が張りつめ、衛兵の通り道には人だかりが出来始めます。静かな空気に、キリッと響く鈴の音、重い長靴の足音。自分が息をするのも忘れるほどハラハラと見つめてしまうその光景、一度は見てみませんか。

衛兵交代式が見られるところ



※中正記念堂 交代式はこの建物の中

忠烈祠が有名ですが、実は台北市内にはもう2カ所あります。一つは中正記念堂、そしてもう一つは国父記念館です。どちらも銅像というか巨像の両脇に兵士が1名ずつ立っており、交代を続けています。
人数が多く、長いのが忠烈祠です。但し、忠烈祠は戦争で亡くなった兵士の英霊や、警察や消防などの公務で殉職された方々を祀る場所、派手な格好で訪れたり、大きな声で話したりといった事は厳禁です。それなりの配慮をして訪れてください。

なお、この3つの中で、一番空いていてゆっくりとみられる所は国父記念館の交代式です。あまり観光客に馴染みがないせいか、あまり人がいません。正面からしっかり見たい方にはお勧めの場所です。

いつみられるの?
午前9時から、毎時1時間ごとの交代で夕方まで続きます。但し、衛兵の交代には20分程度かかりますので、実際に立っている時間は40分程度となります。もちろん、その交代の20分ほどの間は観光客も静粛にし、衛兵の妨げにならないようにすることが必要です。写真撮影は認められていますが、フラッシュをたいたりといった行為はマナー違反です。注意して写真撮影をしましょう。

衛兵はエリート中のエリート

※忠烈祠(海軍)
出典:http://www.tripadvisor.jp/LocationPhotoDirectLink.

未だに徴兵制が残る台湾、20代の若者が陸・海・空軍で2年の兵役についています。そんな多くの兵士の中で選抜されて、厳しい3ヶ月の訓練を受けた後、4か月間、交代で衛兵として立っています。云わば軍のエリート中のエリートです。なお、滅多にないことですが、本当に運が良ければ、中正記念堂の前の大広場で訓練している風景が見られるかもしれませんよ。イミテーションの銃をバトンのように回したり、歩調を合わせたりといった訓練をしているのを見かけることができます。身長や容姿にも制限があるらしく、それらを勝ち抜いて、厳しい訓練にパスした兵士だけが、衛兵として警備に立つことができるのです。

制服の色でわかる陸・海・空軍



忠烈祠(空軍)

もし、何度か衛兵交代式に行かれた方なら気が付かれたかと思いますが、制服の色が毎日違います。ブルーだったり、白だったり、グリーンだったり。これは各兵士の所属の軍によって、制服も違うのです。この衛兵は陸・海・空軍から兵士が選抜されています。陸軍は緑、海軍は白、そして空軍は青の制服です。


難易度高い! 足に鈴



※膝のあたりについた鈴(陸軍)

あまり見かけることはありませんが、中には足に鈴をつけている兵士に出会うこともあります。鈴をつけると、更に歩調を合わせる難易度は高くなります。ずれたら誤魔化しがまったくききません。ホールにリン!リン!と響き渡る音、回りの歩調ともしっかりと音が重なり、鳥肌が立つくらい見事です。

へ? 交代したと思ったら?



※警備中の兵士 時として動き出します。

そんな緊張の交代式をやっと終え、各衛兵が持ち場に静かに立って動かなくなると、大部分の観光客もその場を離れます。ホールも静かなもの。そんな状態が数十分続いた頃、突然バァーンという音がしました。衛兵の一人がパフォーマンスを始めたのです。銃を横に、縦にと振り、そして振り回しだしました。何度かこの衛兵の交代を見ていますが、このパフォーマンスがないときもあるようです。また、陸、海、空軍のどれかによっても内容は変わるように感じられます。でも、ひょっとすると衛兵の交代式以外に、すごいパフォーマンスが見られるかもしれません。見るためにはとにかく30分くらい待ってみてください。

動かない、とにかく動かない。
台に上がり、警備に立っている衛兵を見ると、とにかく動きません。まったく動きません。人間がどうやってここまで動かなくなることができるのかも理解できませんが、姿勢もまっすぐ、微動だにしません。これも訓練の賜物なのかもしれませんが、この集中力は4か月ほどしか続かないらしく、この衛兵の任務は4か月ごとに交代するのだそうです。なお、立っている間、もし汗などが垂れていてしまったらどうなるか、また服装が乱れていたらどうなるか、不思議に思いませんか? 実はちゃんと警備の様子を伺っていて、汗を拭いたり、服装を直したりする人がちゃんと別に後ろにいるのです。そして、そのお付きの人に直してもらっている間も微動だにしないのが衛兵です。その姿は本当にすごいの一言です。

最後に
衛兵の交代式を見ることができるところは世界各地にありますが、ここまで観光客の目の前で交代式を行う国は恐らく台湾くらいだと思います。そして、ここまで足音がそろった交代式も。この交代式、入場料もかかりませんので、一度はじっくり見学されてはいかがでしょうか。