ここはラピュタ? 台南で見た城の跡



台湾の中でも最も古い街、台南。この台南が開かれる前は原住民族が村単位で住んでいた台湾も、1624年にオランダが貿易の中継地としてここ台南に拠点を開いたことから、この台湾は大きく変わってきました。その当時はまだ、台北も高雄もなく、中国大陸や日本との中継地として有利な立地の台南が最初に都市として開かれていったのでした。

そんな台南は、現在は台湾の地方都市の一つとなってしまいましたが、古くからある街や遺跡は台湾の他の地方都市にはないノスタルジックな景色を醸し出し、今では多くの人を魅了する都市となりました。そんな台南を今回は訪れました。

台南までの道のり

今回は日本から飛行機で台湾第二の都市、高雄までまず飛びました。成田空港からだいたい4時間半ほどの空の旅でした。高雄も、そして目的地の台南も北回帰線(夏至の日に太陽が鉛直に照らすライン。)を超えた街です。北回帰線といっても、あまり馴染みがないかもしれませんが、大雑把にいうと、地球には南回帰線~赤道~北回帰線という三本の線が引いてあって、この南から北回帰線の間は太陽がよく照らされるので、熱帯地域になります。 つまり、この高雄も台南も、熱帯の街ということです。冬でも天気がよければ薄着で構わない場所ですが、今回訪れたのは夏まっさかりの8月のことでした。蒸してはいますが、なぜか東京のアスファルトに照らされた暑さとは違い、嫌な暑さではありません。高雄に一泊した翌日、高雄の郊外の街、左営から台湾の新幹線、台湾高速鉄道に乗ること15分、あっという間に台南につきました。

台湾のラピュタ 台南・安平



安平古堡
 
台南は古きよき街です。台北と違って街があまり高層化されていないこと、そして家々が密集した感じがどことなく日本っぽい懐かしさを感じさせてくれます。そしてここは熱帯、街中、いたるところで大きく葉を広げた木々の大木が、古い街を美しく覆っています。そんな台南の中でも、最も古いエリアは17世紀に当初港と城塞都市が築かれていた安平という町です。ここへはバスでも行けますが、私たちは駅前からタクシーを使いました。台湾のタクシーは地域にもよって違いますが、2014年8月現在初乗り70元(日本円でざっくりと280円程度)とかなりお手頃なので、ついつい利用してしまいます。タクシーで降してもらった場所はオランダ人が1624年に築いた拠点、安平古堡です。当時はゼーランディア城と呼ばれ、その名の通り、レンガで築かれた城壁に囲まれた遺跡でした。後から築かれた展望台はともかく、その他の大砲や城壁はその当時の面影のままです。今や城壁はすっかりと木々の根で覆われ、当時の繁栄も夢の跡、自然にはかなわず、さながら天空の城ラピュタのようです。城内では展望台以外に、台南の歴史を説明している資料館を併設しています。

さらにもっとラピュタっぽいところが近くに

安平古堡を出て、10分ほど町の中を歩くと、さらに木々ですっかり覆われた建物に出会います。徳記洋行・安平機屋という元貿易会社の跡地です。洋行とは貿易会社という意味で、イギリス商人の建物だったそうですが、台湾の日本統治時代には日本の塩の会社の事務所として、そして現在は生活資料館と、その倉庫の跡地はすっかりとガジュマルの木に覆われ、その木々を縫うようにウォーキングデッキ(回廊)が設置されています。



倉庫の跡地は今やすっかりと植物の根に多い尽くされています。



天井の柱の上にもガジュマルの根が!木漏れ日が根や葉の間から倉庫を照らし出します。



当時の倉庫の屋根の上もすっかりとガジュマルの大木で一杯です。



もうもはやどの部分を人が建てたのかわかりません。



木々はすべてを呑み込もうとしています。



根はもはや足元にまで。

緑の中の回廊を進んでいくと、そこに広がる光景は信じられないものでした。すっかりと木々に覆われた建物が姿を表し、そのすべてを呑み込もうとしています。夏まっさかりのこの時期に、城内は木陰で涼しげです。木漏れ日が葉と木々の根の間から漏れて、歩くところを照らしています。こんなにも樹木の根を真下から見たことはあったでしょうか。ただし、上ばかり見上げて歩いていると、コケてしまいます。根はレンガ敷きの床の上にまでもうすでに広がりかけているので、しっかり足元を見てあるかないと危ないです。景色を眺めるときは、立ち止まってゆっくりと眺めることをお勧めします。もはや繁栄の跡もラピュタのように、木々に包まれてしまいました。

緑の回廊を抜けると

そこは川や池、緑の平原でした。
何があるわけでもなく、ただただのどかな風景です。台湾は険しい山岳地帯が多いのですが、台南はそのなかでも珍しく平野が広がっているところに街があります。街の郊外は湿地帯や河川が多いのですが、そんなのどかな平野の風景がなぜか懐かしさを感じさせてくれます。ほっとするような、なんだかここに住みたくなるような美しい風景でした。その風景は、是非実際に行ってみて、ご覧になってください。

最後に

台南は台湾で最初に開かれた街です。その最古の街のノスタルジックな風景に、北回帰線を超えた熱帯地域にあるせいか、巨木に建物が呑み込まれるというようなまるでラピュタのような風景を見る事もできます。また、ここ台南発祥の食べ物も多く、甘い甘い果物の名産地としても有名です。夏は暑いのですが、できたら6月~7月頃、果物がとても甘くなり、木々が勢いを増す頃に行かれることをお勧めします。