ここが原点、台湾の原住民族の文化の地へいってみよう

花蓮 アミ族文化村
今まで台湾に行ったことがある方で、MRT(地下鉄)に乗ると、車内で自動アナウンスが同じ駅名を何度も告げていることに気が付いた方もいるかと思います。そんな方は台湾通になる可能性大です! そう、実は台湾は隠れた多民族国家でもあります。ええ?っと思われる方、車内アナウンスで流される駅名をじっくり聞いてみてください。最初に北京語、二番目に台湾語、三番目に客家語、そして最後に英語の4つの言葉が流れています。よく聞いてみると、英語は除いた3つは微妙に発音が似ていますが、少し違います。これだけでも、台湾が多民族国家だということが解るかと思いますが、実はまだもう一言語足りません。このアナウンス中、台湾で使われている(はず)の言葉の中で流されていない言葉があります。それが原住民族の言葉です。
ちょっと横道にそれて、、、台湾の人種について

原住民族料理の屋台も時々見かけます。
台湾の人種を大雑把に分けてしまうと、本省人と外省人に分かれます。本省人は日本統治時代までの頃に台湾に住んでいた人。そして外省人はそれ以後、国民党政権が中国本土から移ってきた時に一緒に渡ってきた人達です。本省人は台湾語を話す福建系、客家語を話す客家系、そして元々住んでいた原住民族です。本省人だけで台湾の人工の85%を占め、残りが外省人ですが、段々と同化され、日常では気が付きにくくなっています。言語も国民党政権以降、北京語が中心となり、本省人の高齢者の人で台湾語しか話せない人もいれば、本省人の家系でも北京語しか話せない子供もおり、世代間で言葉が通じないといった話もあります。
元々の台湾と原住民族
17世紀にオランダが台湾に拠点を持つまでは、国として機能していなかったのが台湾でした。原住民族それぞれが、部落ごとに平和に過ごしていました。その後、諸外国や中国大陸からの影響を受けて、様々な人が渡って、台湾は一つの国の一部となりました。やがて、日本統治後に国民党政権が台湾に移行し、実質上の政府が作られ、現在に至っています。原住民族は現在、ほぼ他の本省人や外省人と同化してしまい、多くの若者は台北や高雄といた都市部で暮らしています。部族としての伝統的な生活はほぼ見ることができなくなり、歌や踊りなどが観光客向けに若干行われている程度です。台湾で政府が公式的に認めているのは16の部族ですが、日本統治時代は主に山側か、平地に住んでいるかでまず、高砂側(山側)と平埔族(平地側)と大雑把に分けていました。
台北から近い原住民族の地、烏来(ウーライ)

烏来温泉
そんな台湾原住民族が暮らす部落として台北から一番近いのが、車で市内から1時間ちょっとの烏来かもしれません。烏来とはタイヤル族が話すタイヤル語で温泉という意味であり、今でも台北からの日帰り温泉旅行客でにぎわっています。そんな烏来はタイヤル族の 部落が多くあったところであり、現在では温泉だけでなく、踊りや歌、そしてタイヤル料理が楽しめる景観地となりました。様々な観光施設がある場所ではありますが、せっかくなので、烏來泰雅民族博物館を訪れてみましょう。タイヤル族の生活習慣や風習を学ぶことができます。現在では絶対にない風習ですが、タイヤル族の風習の中で、特に有名なのが顔への入れ墨です。顔へ入れ墨をすることが結婚の条件であったのですが、男子は敵の首を取らなければ入れ墨をすることができなかった為、日本統治時代の初期には特に襲撃を繰り返し、果敢に戦ったそうです。
烏來泰雅民族博物館
住所:新北市烏來区烏來村烏來街12号
開館時間:9:30~17:00(土日18:00) 休館日:月曜日
そして、踊りや歌、宗教や風習など劇を通じて観るならこちらです。
烏来活力村 国際GaGa劇場
入場料:500元 住所:新北市烏來区烏來村瀑布33号
演出時間:50分(10:00、15:00の2回/日)
美しい民族音楽の音色と、迫力ある劇が気持ちの奥底を打ちます。言葉は北京語で、細かいところまではわかりませんが、観ているとそのしぐさや動きで切なさを掻き立てられます。できれば、博物館を訪れて学んだあとの方が劇も理解できると思います。気軽に訪れてみることができる場所です。
もう一つの原住民族の舞台、花蓮
花蓮は台湾東部、大理石で有名な渓谷の麓の台湾東部で一番大きな街です。そんな街の郊外にも台湾の原住民族について学べる場所があります。
台湾原住民族文化館
http://www.ims.org.tw/template/aboriginal_c21.php
ここでは台湾の原住民族のうち、アミ族を中心として様々な風習を紹介しています。アミ族は原住民族の中でも最も多い部族で、16万9千人強と、原住民族人口の35%を占めると言われています。アミ族はほぼ台湾東部、花蓮を中心として住んでいる為、太魯閣渓谷付近に住む太魯閣族と共に、ここで紹介されています。アミ族は母系社会であり、編籠などの工芸品を作ることに優れ、今でも花蓮や台北の空港で民芸品を買い求める事もできます。アミ族に関しては、交流会やお祭りなども開かれているので、台東県政府のHPを確認すると、年ごとのスケジュールを確認することができます。
終わりに、原住民族とは
台湾は激動の歴史の中で、様々な民族が入り混じった人種のるつぼとも言える国です。私達日本人からは想像もつかない程、様々な民族の風習が未だに残っているので、その地域を訪れる際には是非、その風習に触れてみてください。もっともっと台湾を楽しめるようになるはずです。