香りが本当にいい!台湾ウーロン茶の物語



出勤前、マイボトルにウーロン茶の茶葉を少し入れ、お湯を注いで蓋を閉め、鞄に入れて出かけています。そんな習慣が身についてしまったのは、台湾で出会った烏龍茶のおかげです。会社について椅子に座り、マイボトルの蓋を開けると、もうそこは天国、香しい香りの烏龍茶の香りが漂います。茶こし付きのボトルなので、そのまま飲んでもいいのですが、ここは面倒でもカップに注ぎ、更に香りを楽しんでしまいます。味は柔らかく、どことなく甘い。これを朝ちょっと飲むだけで、ずいぶんと仕事も変わります。
台湾で有名なお土産といえば、烏龍茶ですが、中国本土や日本で売られているものとは色も味も随分違います。でも、一度飲んでしまえば、もう虜になってしまうこの烏龍茶の世界をご紹介いたします。なお、私のように虜になってしまい、毎年茶葉欲しさに台湾まで買い出しにでかけてしまうようになっても、責任は持てません。(笑)

何が違うの? 台湾の烏龍茶

台湾の烏龍茶は大陸のものとは色や香りが大分違います。日本人にとって、烏龍茶というと、こげ茶色をした、飲んでみるとどことなく舌に茶葉の癖があたるようなお茶というイメージがあるかもしれません。ですが、初めて台湾の烏龍茶を飲んだ人はまずそれが何のお茶だかわかりません。淹れたての烏龍茶はまるで緑茶のように緑がかっており、まず日本茶と勘違いする方がほとんどです。そして透明感あふれるお茶の香りに魅了され、飲んでみると癖のないほのかな甘さを感じます。口から鼻にかけて、いい香りが突き抜けて、すぅっと鼻が通ります。淹れたては特にえぐみや苦みといった癖がなく、何度飲んでも飽きることのない味です。他の烏龍茶とはまったく別の物と考えたほうがいいかもしれません。

でも高いのでは?
台湾の烏龍茶の値段は本当にピンキリです。150gで200元(2015年4月現在、800円前後)くらいから、高いものは数千元となかなか手の届きにくいものまで様々です。ですが、値段が高い分、美味しいお茶とは限りません。その価格帯に合わせて、実は淹れ方も用途も違うのです。例えば、先ほどマイボトルに茶葉を入れて持っていくやり方、これは高い茶葉を使えば使うほど、不味くなってしまいます。一番安い200元くらいの烏龍茶を使わなければ、味がしません。台湾の烏龍茶は高ければ高いほど、香りを重視しています。しかしながら、香りのいい茶葉ほど味は薄目でデリケートな茶葉です。専用の茶器を使用してちゃんとした淹れ方をしなければ、ただの薄いお茶になってしまい、楽しむことは難しいと思います。日常生活で気軽に飲むには安い価格帯のお茶も必要なのです。私個人の勝手な目安ですが、

200元~400元程度
マイボトルに入れたり、麦茶のようにピッチャーでたっぷり作り冷やして飲むと美味しいです。

400元~1000元程度
日常使いのお茶。食事の後などに急須で淹れて飲みます。日本茶を飲むのと同じ感覚かもしれません。

1000元以上~
主に香りを楽しむお茶となります。できれば専用の茶器を使い、急須だけでなく、香りを楽しむ器なども使ってお茶を楽しみます。お茶の香りを邪魔してしまうので、他の食事やお菓子と一緒に飲むことはお勧めできません。

ざっと大雑把ではありますが、このような目安を設けています。普通の日本人の家庭であれば、200元~400元程度の烏龍茶と、1000元くらいまでのお茶を一袋買っておけば、十分に楽しめると思います。それですっかりと嵌ってしまったのなら、高いお茶を買い求めてみてもいいかもしれません。烏龍茶は何より、自分に合った飲み方に応じて選んでみてください。

台湾烏龍茶の特徴

出典:http://www.genki-cha-cha-cha.jp/products/detail6.html

台湾には茶葉の産地の銘柄が主に3つあります。凍頂山、阿里山、高山の三つのお茶です。凍頂山、阿里山は山の地名ですが、高山は単純に標高1000m以上で作っている事を指し、具体的な産地名ではありません。その中でも凍頂烏龍茶は日本でも知られている銘柄ですが、他の二つも同レベルの美味しさです。正直、素人の我々にとって、山地によって特に大きく味がハッキリ違うというわけではありません。但し、同じ産地でも標高の高い所であればあるほど、繊細で香りの高いお茶になるのはどこの山地も同じです。その分金額も高くなります。
台湾の烏龍茶は日本で売られている烏龍茶とは違い、発酵や焙煎のやり方が違います。その為、苦みの少ない、甘いお茶になることが多いです。その台湾烏龍茶の中でもざっくり分けて二種類のお茶があります。それは焙煎したものと無焙煎のものです。焙煎したものは芳ばしい香りが、無焙煎のものは柔らかくて甘い茶葉の香りが楽しめます。焙煎か無焙煎のどちらがいいのかといえば、こればっかりは個人の好みになるので、是非お茶屋さんで試飲させてもらい、どちらがいいか是非チョイスしてみてください。

お茶屋さんの選び方

もし、まずは200元程度のお茶をと考える方は、お茶屋さんではなく、町のスーパーや茶葉量販店(例えば、天仁烏龍茶等)で買うとよいでしょう。台湾のご家庭でよく飲まれている気軽なお茶です。
急須などを使って飲みたいという方は是非、町のお茶屋さんに行くといいと思います。中には観光客相手にぼってくるお茶屋さんもありますが、そういうお店の特徴としては、すぐに高いお茶を試飲させて買わせようとする、大幅な割引を提示するなどの特徴があります。まず、数千元の高いお茶は外国人がいきなり入れるには少しハードルが高いと思います。本当に良心的なお茶屋さんなら、台湾茶初心者には初心者なりに向いたお茶を薦めてくれます。決して高級茶葉をいきなり売ろうとはしません。そして、何より、そういった大切な茶葉をむやみに値引きしたりはしません。もし、それでも不安なら、現地の人が多く入り、現地の言葉が店内で飛び交っているようなお店を選んでみてください。地元の人が多く出入りする店はきっといい店です。

最後に、香りの甘さにさそわれて
台湾名産の烏龍茶。高いものからお手頃なものまで、様々なものがあります。自分の飲む用途に合わせて、茶葉をチョイスしてみてください。きっと、どんな烏龍茶でも、鼻を突き抜ける爽快な香り、独特の甘味、そんな優雅で上品な時間を楽しめるはずです。
また、淹れ方が分からないという方はお茶屋さんに行ってみてください。きっと正しい入れ方を見せて教えてくれるはずです。是非楽しんでください。