台湾の国鉄、台鉄で行くのんびり旅

台湾では今、鉄道がブームです。台北でも、台南でも、高雄でも、駅の中には鉄道ショップがあり、グッズが売られ、地元の人で賑わっています。又、鉄道の旅をのんびりと楽しんだり、廃線や地方路線を旅行で訪れたりという人達が老若男女を問わず、増えているのです。といっても、人気なのは2007年に開業した台湾高速鉄道(新幹線)のことではありません。人気なのは台湾の国鉄ならぬ台鉄です。新幹線は民間経営ですが、台鉄は国が運営しています。国が運営しているので、新しくはない、けれどもどことなく懐かしい、ノスタルジックな鉄道に今、注目が集まっています。そんな台湾の国鉄、台鉄の旅をご紹介します。
ノスタルジックな懐かしさの理由とは

懐かしさを感じてしまう、駅のホーム
台湾で鉄道が最初に走ったのは、清朝統治時代末期の1891年に台北~基隆間のことでした。しかしながら、日清戦争後、台湾は日本の統治下に入り、日本が鉄道網を延伸していきました。その為、今も使われている駅舎は日本統治下の時代に建てられたものも多く、どことなく日本の古き駅舎に似ています。南国チックな感じですが、駅のホームも日本の地方路線の感じに似ています。初めて来た感じではない不思議な感覚は、このような歴史からくるものかもしれません。
出典:http://ja.wikipedia.org/wiki/台南駅
地方の大きな都市でも、日本統治時代の駅舎が大切に使われている。
もちろん、駅弁だってあります!
日本ほど、種類はありませんが、見事な駅弁が構内や特急電車の車内販売で売られています。台湾では弁当は便當という字で書いて表示されています。中身はというと、どの弁当でも、大概ご飯の上にドン!と肉がたっぷりのタレとともに載せてあり、他にも煮物とか、日本人にも馴染み深いおかずがついています。この味がなんとまあご飯の進むこと進むこと。

決して豪華な弁当ではありませんが、美味しいです。是非お試しあれ。
その台鉄の乗り方はというと?

復興号
台鉄の乗り方は日本とほぼ変わりません。普通電車や特急等の自由席の切符は自動販売機で行先を選んで買うことができますが、どの列車に乗ればいいかややこしいしので、大概は駅の窓口に行くほうが手っ取り早いです。
また、列車の種類によって、若干ですが料金も違います。特急、急行、準急の順に料金は高いのですが、極端に値段に違いはありません。むしろ、自分が出発したい場所や時間体によって最良の列車を選ぶほうが便利です。
・自強号 特急
・莒光号 急行
・復興号 準急
これより下は
・区間快速 快速
・区間車 普通
となり、区間快速と区間車に指定席はありません。
自分が乗りたい列車が分からなければ、駅の窓口で行先を漢字で書いた紙を見せるだけで、一番早く行ける列車を選んでくれます。
また、台湾の路線図ですが、まず、台湾の鉄道は東部幹線と西部幹線という二つの路線があり、東部は台湾の東側、花蓮や台東に行く路線、そして西部は台中や台南に行く路線があると覚えてください。そしてそこから枝分かれした他の路線に行くことができます。 東部・西部幹線には上り、下りという概念がなく、路線は北上、南下のどちらかです。幹線は台湾を一周しているので、台北から高雄に向かって南に向かう列車は南下、高雄から台北に向かう列車はすべて北上といいます。これだけを覚えておけば、いざ駅にでかけて、案内を見ても迷うことはありません。
もし切符に無座と記載されていたら、その切符は立席の切符です。ただし、席が空いていたら座ることができます。また、座席が指定されていたら、その席に座りましょう。座る場所を指定したい際には、窓側だったら、窓、通路側なら通路側と行先を書いた紙に付け加えて書いておけば、その通りに発見してくれます。お互い、漢字が通じる文化で本当によかったなーと思える時です。
窓口で発券された指定席の切符には目的地とその到着時間も書いてあるので、どのタイミングで降りるか、目安にしてください。到着時間が近づいたら、前もって降りる支度をすることができます。なお、車内は日本の座席と比べてもかなり広く作られているので、快適に過ごすことができます。
中には驚きの路線も!

平渓線
電車のギリギリまで人があふれているこの路線。決して路面電車などではありません。 台北から1時間ほどのところにある、天燈祭(ランタン祭り)で有名な平渓でのことです。平渓や十分駅の回りはなぜか人が線路内を歩いており、そこで天燈上げ(ランタン上げ)をしたりしているのです。是非、ランタンを買って、願い事を書き、線路の上に出てみてください。係りの人が来て、ランタンに火を灯してくれます。段々とランタンの中の空気が温まり、手を放せば、気球のように空高く舞い上がります。

線路上で願いを書いた空にランタンを上げるのもこの平渓線ならではのこと

十分の街は線路沿いにお店が、、そして道は線路の上に。
また、特に十分の町は線路沿いに作られており、線路も歩道の一部になっています。一応立入禁止の札もあるのですが、どこまでが立入禁止なのかは不明で、地元の人はみんな線路の上を歩いています。なお、電車が来る時間になると、音楽が流れ出し人は一旦線路外に逃げます。そして、電車が本当に迫ってくると、警備員が笛を吹いて警告してくれますので、速やかに逃げてください。電車が行ってしまったら元通り、また散策を楽しみましょう!
最後に
飛行機や新幹線ほど早くはありませんが、ノスタルジックな鉄道、台鉄に乗ってみると、ゆっくりと車窓を眺めながら旅を楽しめると思います。地方路線には平渓線だけでなく、様々な驚きの光景もあります。是非、ゆったりとした旅を楽しんでください。